恋愛は狂気である、と常々思っている。
かつて体験した、自らの全存在をかけてもいいという想い。
あの熱にうなされたような情熱は一体何だったのか。
石橋をたたいて渡る人生などクソ喰らえだ、と思った時期が確かにあったのだ。
経済合理性とは、リスクとリターンを天秤にかける作業だが、恋愛は、経済合理性の外側にある。
だから時としてブレーキは効かず、易々とすべてを乗り越えてしまうのだ。
それは、自らのDNAを残そうとしている生物の本能の成せる技なのか。
予測のつかない恋愛の営みで生物の多様性は確保されるのだろう。
何事も経験することでしか理解できないことがある。
恋愛もそのひとつだろう。
ある意味、恋愛は命懸けだからこそ面白いのだ。