学生時代、歴史の授業は好きではなかった。
年号や過去の出来事を覚えることにどんな意味があるのか解らなかったからだ。
しかし、年齢を重ねて今になってみると、歴史は興味深い学問なのだということが理解できる。
それは、年号や過去の出来事を覚えることではない。
時間軸を俯瞰するという作業だ。
人は誰しも、今を生きているが、その行動規範は過去の経験によって裏打ちされている。
つまり、過去の自分の経験によって今の自分が形作られ、未来の行動を決めようとしているのだ。
人間一人の経験はたかが知れている。だからこそ、過去の多くの人々の経験、体験した事実から学ぶべき事柄があるのだろう。
時間軸の俯瞰という作業は、スケールを変えることによって見え方が変わる。
宇宙の歴史は、138億年。
地球の歴史は、46億年。
生命の歴史は、38億年。
ホモサピエンスの歴史は、20万年。
農耕の歴史は、2万年。
文字の歴史は、8千年。
日本の歴史は、15百年。
コンピュータの歴史は、80年。
過去の年代については、諸説あり誤差もあるが、どのスケールで歴史を俯瞰するかによって見方や考え方はずいぶん異なる。
過去の事実から、未来を予測するという作業は、人間特有の知恵であり、それこそが歴史を学ぶ意義なのだろう。
過去の歴史を前提にしなければ、未来は語れない。