恒星や惑星の動きのような現象は物理学の法則で説明や予測ができる。
気象や台風の動きなども、多くの要素が絡んでいるが、スーパーコンピュータを駆使すればある程度予測が可能だろう。
これは、こうしたシミュレーションが「一次のカオス系」だかららしい。
こうした考え方は、決定論的である。
歴史が必然的な結果であれば、未来もまた予め決まってしまうだろう。
しかし、人類の歴史は「二次のカオス系」なのだという。
二次のカオス系は、それに対する予想に人間が反応するので正確な予想は困難だという。
たとえば、為替や株価の予想は人々の思惑という不確定的な要素で決定される。
また、それを売り買いする人間がすべて合理的な判断をするわけではない。
人類の歴史においても同じようなことが起こる。
カール・マルクスは、資本論で経済の歴史的な必然を説いたが、その通りにはならなかった。
極端な結果が出た時、人間はその結果に対して何らかの対応を取ったり、取らなかったりするため予測が困難になるのだろう。
歴史に対する研究は、未来を予測するためではなく、未来に多くの可能性、選択肢があることを理解するための学問である。
歴史に「もし」がないからこそ研究する価値があるのだろう。