国連総会の場で国家元首たちの品位のない罵り合いが続いている。
もっとも尊重され、尊敬されるべき国家元首が世界の命運をもて遊ぶような言動を繰り返しているのだ。
人類が生まれて、小さなコミュニティが作られ、やがて国家が形成された。
国家が生まれた理由は、人類が求心力によって大きな力を生み出す生き物だったからだろう。
人類は、知識と分業によってさらに大きな力を手に入れた。
国家は離合集散を繰り返し、巨大化し、現在の枠組みが出来上がった。
複数の国家が存在している理由は、国家のアイデンティティと価値観の相違によるのだろう。
多くの人は生まれ落ちた国で一生を終える。
国籍を変えることは可能だが、かなりハードルは高い。
国家と国民は運命共同体だ。
国民の生命、財産、安全を守るのが国家だが、国家の存在が世界を危うくするという矛盾を抱えてしまった。
人間は、常に制約の中で自由を謳歌しているが、自由を保障しているのは国家という権力に他ならない。
その権力の根拠は、国民の信託であるはずだ。
個人も、国家も、世界も、平和と繁栄を願っているはずだが、いつの世も戦争は絶えない。
小学生のころに観たテレビ漫画、「スーパージェッター」では、30世紀の未来から来たタイムパトロールの主人公が「30世紀の世界には国境などありませんよ」と言っていたのを思い出す。
人類の繁栄も抑圧も国家という権力の化け物が産みだす。
『絶対的権力は絶対的に腐敗する』
だが、人類は権力のフェールセーフをまだ見つけてはいない。