働くことの意味が、ここ数十年の間にずいぶんと変わってきたように感じる。
人々が飢えることなくより豊かな生活を送りたいと願っていた社会では、働くことは至上命題だっただろう。
しかし、世の中が豊かになり、労働の生産性が向上すると、世の中には物があふれるようになった。
働こうと思えば働く場所があり、働くことができれば安定した生活を送れるという幻想はもはや通じなくなった。
条件の良い雇用の絶対数は、AIや自動化によって減ってゆき、所得の二極化が進んだように思う。
働くことが当たり前、働かざる者食うべからずという価値観を疑ってみる必要があるように思う。
ベーシック・インカムという考え方ある。
国家が個人に対し、無条件に与えられる一定額の所得の事である。
この制度により、医療、年金、生活保護等の社会保障、福祉サービスなどが一本化され大幅な公務員の削減につながるだろう。
また、老後の心配がなくなれば、高齢者の必要以上の貯蓄も必要なくなるように思う。
車の自動運転、コンビニの無人化など、単純労働はロボットやAIが担う時代になるだろう。
しかし、人は相変わらず労働によってアイデンティティを求め続ける。
そこにあるのは、労働の対価としてのお金ではなく、社会的意味や意義が価値を持つようになるのだと思う。