ayuminokuni’s diary

人生をよりよく生きるために

付加価値

付加価値とは、人が労働によって生産された製品、もしくはサービスによって付け加えられた価値のことである。
現役時代に仕事をしていた頃、自分がしている仕事は給料に見合っているのだろうか、とよく考えた。
ザックリ言うと金融の仕事をしていた。
社会的な影響力という意味ではやりがいはあった。
会社の代表者や政治家、弁護士などと話をする機会も多く、仕事は面白かった。
しかし、自分の仕事がどんな人たちを幸せにしているのか、という実感はあまりなかった。

金融は社会の潤滑剤とも言うが、実際には何物も生み出してはいない。
取り引きにおけるリスクを回避する為の利ざやを取ったり、時間や距離の隔たりをお金に変えたりする仕組みである。
そこに情報というデータが付加されると利ざやはさらに拡大する。
物理的な商品が何もないのに、お金というデータだけが増えていくのだ。

お金という商品には、価値はあるが物理的な実体はない。量というデータがあるだけだ。
データにゼロがひとつ付くと10倍になる。

個別案件の融資においては、100万円の案件も1億円の案件も事務処理上のコストは変わらない。
金額というデータは100倍になるが、リスクは必ずしも100倍にはならない。
つまり、究極的にスケールメリットのある世界なのだ。
スケールメリットによって、金持ちはより金持ちになる。これこそが、貧富が拡大する理由である。

人々を幸せにする付加価値とは一体何だろうか。

いや、ロジックが逆なのだ。
人々を幸せにするものにこそ付加価値があるのだ。
お金によって人は幸せになれると幻想を抱くが、お金は手段でしかなく、目的にはならない。
目的はあくまでも幸せであり、その価値観は実に多様である。

実は、多様であることにこそ価値があると、わたしは信じている。

f:id:ayuminokuni:20180511220934j:plain