消費税増税に伴うポイント還元の話題が出て以来、キャッシュレスの話題がにわかにクローズアップされてきた。
キャッシュレス化によって一体何が変わるのだろう。
かつて、プリペイドカードといえば、テレフォンカードくらいしかなかった。
テレフォンカードはセキュリティ対策が甘くおそまつだったので、偽造カードが大量に出回った。
その後、携帯電話の普及と共にテレフォンカードは衰退し、公衆電話そのものの数も激減した。
プリペイドカードのもっとも重要なポイントは、低コストで、いかに偽造、悪用されないカードを作るか、ということなのだ。
その後、セキュリティ対策が強化された様々な仕掛けのプリペイドカードが出現したが、どのカードもデファクトスタンダードにはなっていない。
しかし、キャッシュレスが本当に普及し、現金を使う機会がほとんどなくなれば、様々な変革を世の中に及ぼすように思う。
銀行やコンビニにおいてあるATMの機械。
あの機械の設置費用が高額なのは、お札の真贋を識別したり数えたりする仕掛けにコストがかかるからだ。
さらに機械の中に常に現金のストックが必要で、維持管理に人手が必要だからだろう。
一説では、ATM設置費用に数百万円(生体認証の機能など、どの程度のオプションを付けるかで変わるらしい)、ランニングコストが年間1千万円程度と言われている。
キャッシュレス化によって、現金を扱う必要がなくなれば、機械のコストは劇的に下がる。
取引データのやり取りだけなら、ハードもソフトもシステム維持のコストはほとんどかからない。
お金の本質は、貨幣や札束そのものではなく、交換価値という単なるデータだからだ。
このことは、ビットコインという仮想通貨の出現によっても、実験的に実証されている。
キャッシュレス化による全取引は、ビッグデータとして蓄積され、脱税やマネーロンダリングの防止にも役立つだろう。
お金は単なるデータだが、お金の流れや取引履歴は、経済そのものを反映している。
いずれにせよ、キャッシュレス化によって経済はガラス張りになるだろう。
そのことが、みんなのしあわせに資するのか、国家に管理された悪夢が到来するのか、それは判らない。